鍵盤楽器を弾く / 体全般の感覚・気付き / 自分でやる

すっかり間が空きましたが、不定期連載でほぼ週、ほぼ月も辞さないいい加減さで、駄文をつらねております。

先日書いたことが(http://d.hatena.ne.jp/Look4Wieck/20091104/1257311404)、ひらたく言ってしまうと、「すごい専門家の妙技をただ単に享受するでいいのか?」なんてことも含まれていたのですが、なにを隠そう私も大人の再挑戦で(電子)ピアノの蓋を開けてはまごついています。

わけあって詳述できませんが、立ってやるいわば踊りのような稽古ごとをやっておりまして、これと座ってやるピアノを比較していると、道具による専門的な違いはあれども、なんだか体の運用法としては随分似た所があるなぁとつくづく思う日々です。

弊ブログでは何度かご紹介している御仁なので、ご覧の方もいらっしゃると思いますが、そんな中で読んだ大井浩明さんの

汎用・クラヴィア奏法試論 [2009.11.07]

http://ooipiano.exblog.jp/12662198/

が、大変面白いものでした。

試論作成にあたってのテスト生としてセッションに参加したり、その前からアレクサンダーテクニークについて教えていただいたり、どんなものになるのか気になっていたので、こうやって形に纏められたのは誠に慶賀すべき以下略。

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ピアノの奏法というと、指で弾くな、体全体なんてことは、ほうぼうで聞きますが、ではその記述を見ると結局指の話、せいぜい肘辺りか、いっても肩までとなっています。折角、「指でひくのではない」といいながら、映像が示されていても、なんだかんだと手首辺りまでしか収めていない・・・一体全体体全体はどう使うのか?そんな疑問を持った方も多いのではないでしょうか?*1

大井さんの汎用・クラヴィア奏法試論の面白さは、『指先成分を可能な限り排除した鍵盤奏法』を目指して、じゃー手首なのか、肘なのか、腕なのか・・・といった指じゃないなら、体の他の「部分」にまかせる手軽な解決法をこばみ、体全体*2の気付き方・運用法に切り込んでいること。

モダン楽器、昔の各種楽器の特性の違いなども随所に出てきて、聞いているだけだと判らない話も楽しいです。

そこで伸べられているこまごまとしたことは、体の観察法、発見法、自分勝手に動かさない動かし方等々、自分もピアノ以外の習い事向けに

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などを片手に、あーでもないとこーでもないと頭を悩ましていた所で、いろいろと参考になっております。*3

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試論は、

自分の体のことは、自分で調律するしか無い、と再度申し上げて、取り敢えずの結語とさせて頂きます。

という言葉で結ばれています。世間の教授法というものは、先生がお手本を見せて、ダメだしはするけれど、実際生徒がどうすべきかは五里霧中というものが多くはないでしょうか?「自分でどうやるか?」の内発的な発見法といいますか、運用法といいますか、そこの解明しようとしている点も一見些細な事ながら風変わりな試みと思います。

そして、その改善が、小手先の間に合わせを避け、体全体の協調性を探すなら、多分ゆっくりとしか進まないであろう事に注意がなされていることは、決して見逃すべきでない点と感じました。

ピアノに限らず、ほんとの教育は自習の仕方なんじゃないかな・・・と、そんなものは生徒が自らが発見すべきではあるのでしょうが、教育が生むものが、先生に頼らざるを得ない信奉者 or 先生に反発する自己確立者に二分されているとしたら、それはそれでなんだかおかしい気が致します。

ピアノ・チェンバロ教室も開設されたそうで、ご興味あれば。 *4

では。

*1:これは面白いことです。スポーツなら全身を見るのは当たり前と思いますが、そうでもない。例えば、ボクシングなど選手本人やコーチはともかく、それを撮影している方は上半身しかカメラに収めていないなんてことはざらにあります。

*2:座っているので、座骨から上の体全体、、、と言ってしまっていいと思います。

*3:私自身の動き方、気付き方なんてレベルが低いので、比較になりませんが!

*4:試験的セッションの際は、私が堕落しているもので、いろいろな方のものまねを見せて貰って時間をつぶしてしまったり。これがまた大笑いで・・・