ショスタコーヴィチ:バレエ《ボルト Bolt》見てみました

2009年10月7日注:このDVDに収録されたものと同じ内容の公演が、2009年10月19日(土)放送のNHK衛生 HiVisionのウィークエンド・シアターで放送されます。

輸入版DVD ショスタコーヴィチ:バレエ《ボルト Bolt》ボリショイ・バレエのAmazonの商品頁を開く元のブログ(http://sergejo.seesaa.net/)が今年に入ってからあまりに検索hitが少ない・・・ので、あれこれ考えたもののどうしようもなくなりまして、気分転換も兼ねて、はてなに移転致しました!しかしながら、「そもそも内容がない!!」のが原因である可能性が高く、なんであります!

なにはともあれ、そこそこ広く&ますますゆるく書いて参る所存・・・と少し固くなりましたが、今後とも、どうぞよろしくお願い致します。

先月、9月25日が西暦でのドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)の誕生日だったので、それに合わせてちょっと見てみました・・・というのが、本日ご紹介する二作目のバレエ《ボルト Bolt》。1930年から1931年の作曲。

すっかり10月に入って、時期を逸してしまいましたが、どんな内容かと申しますと・・・



ショスタコーヴィチ:バレエ《ボルト Bolt》のあらすじ

Nastya(♀)と別れたばかりのDenis(♂)は、失恋の痛手で何もかも身が入らず・・・運営開始されたばかりの新工場でもへまをやって、追い出されてしまいます。

飲み屋で半ば自暴自棄のDenisは、心配して駆けつけたNastyaにも粗暴にあたり、同じくなんとかしようとやってきたYan(♂。工場の管理者側でしょうか)にも乱暴をふるう始末。

逆境の原因を自分に求めずすっかり逆恨みのDenisは、みなし子のIvanshka(♂)のもっていたボルト(ナットとボルトのボルトです)に目をつけ、これで工場に細工してしっちゃかめっちゃかにしてやろう!!と、夜にIvanshkaと共に工場に忍び込みます。

そんな悪巧みのさなかにふとあらわれたYan。Yanに見とがめられDenisの計画は未遂に終わりますが、DenisはYanが工場破壊を企んだと嘘の進言。連行されるYanですが、みなし子のIvanshkaはその様子を見てすっかり改心し、真犯人はDenisであると告白します。Denisが連行され、YanとNastyaが新たに恋仲に収まる中、Ivanshkaにも新しい未来が開けて・・・ここから最後の幕が開いて、踊りの激しいグランドフィナーレになるのは定石ですが、Ivanshkaの夢の中、彼は赤軍の英雄となって云々と最後の場面は筋書きはあってないようなめまぐるしい舞台です。



◎ボリショイバレエによる30年ぶりの《ボルト Bolt》再演DVD

ボリショイバレエによる30年ぶりの《ボルト Bolt》再演DVDの商品写真私がみたのはこちらのDVD。2006年に、初演から30余年ぶりにボリショイバレエによって再演された舞台を収録。今現在、ただ一つの《ボルト Bolt》の映像パッケージ作品。

輸入版ですが、All Region NTSC。字幕は英・仏・独。特典映像として、ショスタコーヴィチの簡単な伝記ドキュメントと本作品の振付師や指揮者へのインタビューが30分程入っております。

さて、この《ボルト Bolt》も結構諧謔味があって、楽しい作品。音楽はいかにもショスタコーヴィチのこの手の作品という感じです。そもそも、あらすじの通りで、いかにも正義の味方のYanとヒロインNastyaが単純明快にくっつくのもあれっという展開ですし、Ivanshkaの密告を素直に誉めるべきか中々難しいところ。この頃のロシア、否、ソ連ですから、あらすじにもいろいろ制約があったことでしょう。ショスタコーヴィチがそれぞれの場面に付けた音楽に、表には言えない心境がちらちらと伺える気も致します。

全体的には、

やはりバレエ作品なのでバレエ好きの方にはより楽しい!

作品と思います。私もバレエは門外漢ながら言ってしまいますと、ボリショイバレエと言えば!の日本の岩田守弘さんがIvanshka役で登場。相変わらず、高いジャンプで軸が奇麗です!一度モスクワ旅行中に舞台を拝見したことがあるのですが、その時の舞台の様子も思い出されてちょっと懐かしい思いでした。岩田氏についてご興味あれば、こちらのインタビューなどどうぞ!

http://tumjpn.blog48.fc2.com/blog-entry-35.html

振付師は、Alexei Ratmanskyという方。どこまで当時の再現で、どこまで同氏の解釈か不明ですが、当時の政策・世相を風刺している感は確かにあって、こんなもの上演して危なくなかったのでしょうか・・・?最先端のモダン・バレエほどでもなく、ほどよくクラシックなテイストと言ってよいのでしょう。結構、笑ってしまうもので、第一幕ではロシアの美男美女が体育着でラジオ体操したり・・・そういうご趣味のかたには確実に満足いただけ、、、(以下略)*1

ローレル・E.ファーイ著 ショスタコーヴィチ ある生涯 [改訂新版] (叢書・20世紀の芸術と文学)の商品写真なお、本作品スリーブノートには上演禁止から30年後の再演!といった内容が書いてありますが、手持ちのローレル・E.ファーイによる伝記 『ショスタコーヴィチ ある生涯 改訂新版 (叢書・20世紀の芸術と文学)』を確認したところ、政治的に不穏当で上演禁止になったのか、単に人気が出ずに上演されなかったのかなんだかよくわかりませんでした。

かくなる次第で、CDで全曲盤を聞くなら、舞台収録盤であるこのDVDの方がいろいろ楽しみやすいと思います。

には、安心しておすすめできるものかと。

DVDで見るのではなく、ちょっと聴いてみたいという方には、作曲者自身が組曲しているので、それで良いやも知れません。例えば、

ロジェストヴェンスキー指揮 BBC LEGENDS、チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」/ショスタコーヴィチ:バレエ音楽「ボルト」他 の商品写真ロジェストヴェンスキー指揮 BBC LEGENDS、チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」/ショスタコーヴィチ:バレエ音楽「ボルト」他

ヤブロンスキー指揮/ロシア国立響 ショスタコーヴィチ:ジャズ組曲第1番, 第2番/バレエ組曲「ボルト」/タヒチ・トロット の商品写真ヤブロンスキー指揮/ロシア国立響 ショスタコーヴィチ:ジャズ組曲第1番, 第2番/バレエ組曲「ボルト」/タヒチ・トロット

DECCA9枚組 ショスタコーヴィチ協奏曲・管弦組曲・室内交響曲集の商品写真DECCA9枚組 ショスタコーヴィチ協奏曲・管弦組曲・室内交響曲集

などなど。

ではまた次回!

*1:所謂ブルマではなくかぼちゃ短パンですので、そこまでご趣味の鋭敏な方向けでは・・・以下略