チャールズ・アイヴズ:ピアノ・トリオ 思わず吹き出します

Charles Ives Remembered: An Oral History (Music in American Life)  の商品写真  本日は、チャールズ・アイヴズ Charles Ives(1874-1954)の誕生日。昨年に引き続いて、面白い録音ご紹介です。特別この作曲が好きというわけでもなく、音楽的素養がないので作曲技法のどーのこーのがなんとかもさっぱりですが、

というだけで、何となく親近感があっていろいろ聴いてみることにしております。

思わず吹き出してしまうアイヴズの逸話の数々は、昨年簡単にご紹介した(http://sergejo.seesaa.net/article/108358624.html)

Charles Ives Remembered: An Oral History (Music in American Life) 著者: Vivian Perlis 出版社: Univ of Illinois Pr

をぜひご覧下さい。50名にのぼるアイヴズの家族・友人・知人へのインタビューによって作曲家の姿を描いた一冊。英書ですが比較的簡単な会話の文章なので、語学の勉強も兼ねておすすめできます。

晩年の姿はおとぼけ爺さん全開。音楽をわきに置いても、そこで思い出として語られる古き良きアメリカの企業人の姿・そののどかな生活ぶりには、「アメリカもいつから今みたいになっちゃったんだろう・・・」といろいろ考えさせられます。*1

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今年のご紹介曲&録音は、思わず笑ってしまうという点で選びますと、やはりピアノ・トリオ。1900年代半ばから書き始めて、1910年代に完成されたので、大体ホリデー・シンフォニーと同じ頃の作品。

チェロ、ヴァイオリン、ピアノがつかずはなれず、静謐になったかと思うと、妙に俗になるのはいつものアイヴズ。割と聴きやすい作品と思います。とは言え、なんだこりゃと思いながらも、たまらず吹き出してしまうのが、TSIAJ:This Scherzo Is A Joke と名付けられた第二楽章。奥さん曰く、これはイェール大学時代の思い出で he thinks hardly anything but a poor jokeだそうですが、きっとその通りなんだろう、、、と思わせます。それでなんだか叙情的(?)に終わるという変な曲。なんだこりゃと思いたい方には、ぜひどうぞ!

録音は、いろいろあってこだわることもないとおもいますが、

http://look4wieck.com/asearch.php?mode=on&k=ives+trio(Look4Wieck.comの検索結果が開きます)

おすすめしやすいのは、有名なボザール・トリオの廉価版セット 4枚組。*2

Philips Recordings 1967-1974 Box set, Import の商品写真  Philips Recordings 1967-1974 Box set, Import
演奏者: Beaux Art Trio
レーベル: Philips

アイヴズのピアノ・トリオの録音をいろいろ聴いた中では、まじめにふまじめなよい演奏。ユーモアを感じさせないといかんですよね。

このセット、安価な上に、メンデルスゾーンのトリオ第1番&第2番、シューマンの第1〜3番、ショスタコーヴィチのトリオ第2番(のみ)、ショパンスメタナチャイコフスキーそしてシューマンの奥さんのクララ・シューマンのトリオを収録。クララ・シューマンのこの曲は、聴きやすくて、きりっとしながらも優しい人柄を感じさせる作品と思いました。

なかなか手が出そうで出ないけれど、聞いてよかったと思わせる室内楽の佳曲集であることもこの4枚組Box-setのおすすめポイントです。

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もう一つ序でながらにおすすめするのは、わたしなんぞ難しい事抜きにアイヴズの人柄が楽しいと感じるピアノ曲の自作自演集。

Ives Plays Ives: Complete Recordings at the Piano, Import の商品写真  Ives Plays Ives: Complete Recordings at the Piano, Import
作曲者Charles Ives本人によるピアノ作品自作自演集
レーベル: New World Records

時に深刻、時に笑顔と、曲そのままにいろんな顔で弾いている姿が浮かんできそうです。時にアイヴズの調子っぱずれな歌声も聞こえてきます。ややこしいことを考えずに、曲を聴いて感じたまま、しかめっ面になったり、思わず笑顔になったりしながら、素直につきあえばいいんだろうなぁ・・・とそんなことを感じた録音でした。

*1:詳細な伝記にはこちらをどうぞ。500ページあって、そこまでアイヴズファンでない私はさすがに挫折しました・・・。面白い逸話は上のPerlisのインタビュー集で、正確な伝記的事実を抑えるにはこちらのSwaffordとなりますか。

Charles Ives: A Life With Music の商品写真  Charles Ives: A Life With Music
著者: Jan Swafford
出版社: W. W. Norton & Company

*2:ボザールトリオの公式ホームページはこちらです。http://www.beauxartstrio.org/