最近の新譜から 2009年10月&11月 その2:ギュンター・ヴァント指揮 ミュンヘン・フィルの国内盤キングレコードから発売
輸入版で、Profil/Hänsslerレーベルから発売されていたギュンター・ヴァント指揮 ミュンヘン・フィルの一連の録音があります。私も大変好きな演奏。
録音年代は1993年から2001年までですから、チェリビダッケがまだ常任指揮者をしていた頃から、没後ほんの数年まで、ヴァントがミュンヘンに客演に呼ばれてできた作品。
曲目を書いておきますと、全て交響曲で、ブルックナー Nr.4,5,6,8,9、シューベルトの最後の二つ交響曲 未完成と9番ハ長調大交響曲、ブラームスの1番にベートーヴェンで同じく1番。これで8枚組。
この国内盤がキングレコードから発売されました。全部で7種8枚(一つだけ二枚組)。国内盤の解説を読みたい方、一部だけ聴きたい方、少しずつ買い集めたい方にはちょっと便利になります。といっても、三枚買えば輸入版の総額になってしまいますから、Boxで買うのがいいように思いますが・・・
幾つかリンクしておきましょう。
ブルックナー:交響曲第8番/シューベルト:交響曲第8番 2枚組
ギュンター・ヴァント指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
販売元: キングレコード
ブルックナー:交響曲第5番
ギュンター・ヴァント指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
販売元: キングレコード
ブルックナー:交響曲第9番
ギュンター・ヴァント指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
販売元: キングレコード
シューベルト:交響曲第9番ハ長調
ギュンター・ヴァント指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
販売元: キングレコード
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上のブルックナーは普通に聴いても面白い録音ですが、ヴァントが音楽監督や首席指揮者として指導したケルン放送交響楽団やNDR交響楽団(北ドイツ放送交響楽団)との録音と比べてみると随分違っていて、あれこれ興味深いです。
全体的に大変のびやかで大きなヴィブラートで歌いますが、これはチェリビダッケが指導したミュンヘン・フィル自体の特徴がよりでているせいではあるまいか・・・NDR交響楽団との録音とは随分違います。実際のライブ会場でどう響いたかはわかりませんが、録音ではそう聞こえます。これはヴァントも好むところだったのか、好まざるところなのか・・・
なにごとも指揮者の腕次第と思ってしまいがちですが、このような聞き比べをすると、どの辺りが指揮者個人資質の違いで、どの辺りがオーケストラの特性なのか、なかなか難しくて迂闊に言えなそうですね。
ちゃんとわかる人からすると、ミュンヘンにもNDRにも共通するヴァントの指揮の特質はかれこれ、などとはっきりしていたりするのでしょうか・・・
ヴァントの録音ですと、現在手に入りやすいものは、
後日注:ここで単品のNDRとの録音その他を挙げていましたが、CD28枚組+DVD1枚の安価なセットが出ているのでこちらに致しました。これはベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、ブルックナーの交響曲全曲に、モーツァルトやシューマンも幾つか入っておりまして、ドイツ・オーストリアの交響曲の入門としても大変便利なセットと思います。奇を衒わずに真面目な演奏である、しかし平板なんてことは微塵も無く十二分に楽しめる・・・こんなところもお薦めしやすいポイントです。
Gunter Wand Great Recordings Box set, Limited Edition, CD+DVD, Import
ギュンター・ヴァント指揮 北ドイツ放送交響楽団, ケルン放送交響楽団
聞き比べに、チェリビダッケ指揮/ミュンヘン・フィル。こちらも安価なBox-setがあって、おすすめです。まずは、ブルックナーの録音。なにを言うまでもない、チェリビダッケの代表録音。
Bruckner: Symphonies 3-9, Te Deum, Mass in F Minor 12CD Box set, Import
Sergei Celibidache指揮 Münchner Philharmoniker
レーベル: EMI CLASSICS
ブルックナー以外の、ベートーヴェン、ブラームス、シューベルト等、ドイツ・オーストリアの交響曲を集めた12枚組もあります。シューマンのラインなど実にゆったりと雄大でこの曲でも最上の録音の一つでしょう。第三交響曲ラインは多分地味な存在かと思いますが、1950年という彼の活動でも最後の方に書かれた曲で、実質的にはシューマンの最後の交響曲と言っていい作品。私も作曲の順序を忘れていましたが、この録音で「4番より老練な曲と思うけれど、なぜだろう」などと思って、シューマンの伝記本で調べ直したり・・・
あと、ブラームスの曲の幾つかの楽章、例えば、第四交響曲の第一楽章などほんとに奇麗な演奏です。
Celibidache: Symphonies 12CD Box set, Import
Sergei Celibidache指揮 Münchner Philharmoniker ブルックナー以外のドイツ・オーストリアの交響曲集
レーベル: EMI CLASSICS
もう一つ、序でですが。フランスとロシアなどの曲集。チェリビダッケが得意として、世間でも評判のラヴェル版『ボレロ』も収録。私がこの中で一番好きなのは、チャイコスフキー『くるみ割り人形』組曲。
クラシックも聞き込んでくると忘れてしまうような入門的泰西名曲ですけれど、素直に面白い!楽しい!と思い出させる名演奏。
French and Russian Music 11CD Box set, Import
Sergei Celibidache指揮 Münchner Philharmoniker ブルックナー以外のドイツ・オーストリアの交響曲集
レーベル: EMI CLASSICS
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ヴァントやチェリビダッケはどんな人?とお思いの方には、ドキュメントDVDは、演奏会や練習風景、インタビューが収録されていておすすめです。二人のDVDは私も見ておりますが、人柄が伝わる面白い内容でした。
ヴァントの方は輸入盤ですが、私が購入したものは日本語字幕がありました。
上のヴァントの28枚組Boxに付属のDVDはこれと同じ内容です。*1
Gunter Wand: My Life, My Music (2pc) / RCA RED SEAL Legendary Visions [DVD] [Import]
Gunter Wand
チェリビダッケは、
チェリビダッケ ~ 何もせずとも…進化させよ [DVD]
監督: ジャン・シュミット=ガレ 出演: セルジウ・チェリビダッケほか
レーベル: Arthaus
これついて以前幾らかご紹介する記事を書いたので、ご興味あれば(http://sergejo.seesaa.net/article/120443527.html)。
ヴァントにしてもチェリビダッケにしてもリハーサル映像などもいろいろありますので、CDショップにしろ、YouTubenにしろ、探してみると面白いです。
ひたすらリンクばかりになってしまいましたが、本日はこの辺りで。では!